バーナード1世 第1章
1302年 (20歳)
シチリア王・バーナード: (((;゚Д゚)))ガクガクブルブル
弟が…、一瞬で…。
義兄・エルサレム王・オンフロイ: ああ…、だから言ったのに…。
姉・エルサレム王妃・セレヴァ: オルデリック…。
バ: これは義兄上、姉上。
義: あなた方にとって、ここは水も気候も異なる土地だ。
そんな慣れない戦地で病に冒されれば、丈夫な若者でも危うい。
ましてや、相手は黒死病。
これで分かったでしょう。
あなただけでも無事に帰国してほしい。
バ: わ、分かりました。
もちろん軍勢は残し、引き続き加勢いたします。
長兄・オスウルフ: おお、バーナード、君だけでも無事に帰ってきてくれてよかった。
バ: 兄貴こそ、黒死病にかかっていたのに。
兄: ああ、私はこのとおり、すっかり回復したよ。
バ: (頑健だった弟はあっさり亡くなり、気弱な兄貴は生き延びた。
皮肉なものだな…)
兄: 立て続けに王が替わったが、国内に不穏な動きはないよ。
黒死病対策で一致団結していたからね。
その黒死病も、国内ではほぼ終息した。
バ: それはよかった…。
あの、言い出しにくいが、後継者についてなんだが…、元帥を長く務めてきたアルフォンス殿にしようと思う。
父・アンフロイと仲が良かったナポリ公アンクティルの弟だ。
兄: ああ、かまわないよ。
私は父・アンフロイからも後継者に指名されなかった。
王の器ではないことは、十分わかっているよ。(Content)
バ: す、すまない。
兄: ところで、君は帰国したが、エルサレム防衛戦には引き続き参加するんだろう?
バ: ああ。イタリア統一も進めたいが、聖地防衛は何よりも優先する。
バ: 1万8千対1万1千の野戦に勝利したが、損害はこちらの方が多かっただと!?
兄: 原因は敵のラクダ騎兵なのかな?
もしくは指揮官の能力か…。
バ: 以前に比べて敵軍は大きく数を減らしたとはいえ、まだまだ油断ならないぞ…。
バ: この状況で、ムーサー朝のマウレタニアへの十字軍…!?
どういうことだ。
(ムーサー朝内のマウレタニア王国の領域)
バ: まだ陥落していないエルサレムを目標に定めることはできなくても、エジプトやシリアなどを標的にして我々を援護することは可能なはずなのに…。
ムーサー朝はシーア派だから、スンニ派カリフと戦っているこちらの援護にはまるでならない。
兄: とはいえ、参加表明はしておこうよ。
破門されてはたまらないからね。
バ: ああ…。
それにしても、HREは十字軍には即座に参加したな。
この十字軍、いったい誰が立案したのか…。
1304年 (22歳)
義: (Skypeで通信)バーナード殿、申し訳ない。
バ: これは義兄上、どうしたのです?
義: あなたの姉、私の妻のセレヴァが、敵に囚われてしまいました。
バ: なんと!?
義: 我らの首都・カラクが陥落した時に…。
バ: く…。姉上、無事でいてくれ…。
兄: ところで、我々がカリフと戦っている間に、ビザンツはアイユーブ朝からアレッポを奪ったようだ。
バ: 我々も封臣として1万の軍勢を派遣していた。
うーん。
ぐずぐずしていると、ビザンツが強大になって独立しづらくなるな。
兄: バーナード、君も独立派なのかい?
バ: もちろんさ。文化も宗教も違うんだから。
兄: まあ、そうだけど…。
1305年 (23歳)
義: ……2月に妻がメッカで獄死していたとの報告を、今、受けました。
バ: 義兄上、お悔やみ申します…。
義: いえ、そちらこそ。
バ: なんとしても…、なんとしても、この聖戦に勝利しましょう!
義: もちろんです!
義: 9月、ついに白紙和平となりましたぞ!
バ: おおお!10年続いた大戦が、ようやく…。
姉上、カタキはとったぞ…。
バ: 戦争が終わって落ち着いたので、義兄上の妹(10歳)と私の叔父(15歳)で婚約しませんか。
今後も友好関係を維持したいのです。
義: 喜んで。
今回の援軍、シチリアにはいくら感謝しても足りません。
本当にありがとうございました。
(エルサレム王国の領域)
バ: …うん、そうだ。確かにそうだ。
兄: どうしたんだい?
バ: いや、エルサレム王から援軍について感謝されたんだが、確かに、今回の聖地防衛において、シチリアは多大な貢献をすることができたよ。
まあ、120年前の聖地陥落の際は、アイユーブ朝の英主・サラディンが指揮をとっていたが、今回はアイユーブ朝は参加しなかった。
それに、スンニ派軍が攻城戦で数を減らしていたという運の要素が大きかったが…。
兄: それでも、ボロボロだった戦線を私達が立て直したんだ。
これも、祖父オズバーン王の掲げた方針のもと、イタリア統一を進めて国力を増大させたおかげだね。
バ: ああ。小国ではできなったことだ。
今後も征服を進めて、カトリックの守護者として、より頼れる存在となろうじゃないか。
――第2章へ続く――