バーナード1世 第4章
1325年 (43歳)
シチリア王・バーナード: さて、内戦に勝利して一息ついて国内を見回したところ…、シチリアの領土が減っているな。
兄・オスウルフ: うん。
経緯は分からないけど、幼年のサモス女公がシチリアから離れて皇帝の直臣になったせいだね。
スポレートとシラクサを失った。
バ: せっかく王権が「低」になったんだ。
攻め取るか? いや、同族だしな…。
兄: 君の息子・バーナードと婚約しては?
バ: うーん、そうだな。
どうも腑に落ちないが…。
1327年 (45歳)
バ: 年末に、義兄のエルサレム王・オンフロイ殿が48歳で逝去した。
戦いに明け暮れた生涯だったな。
エルサレム王の宿命か…。
兄: 後継のアメデ2世は私達の甥にあたるね。
メッカで獄死した妹(バーナードにとっては姉)・セレヴァの長男だ。
バ: エルサレム王国とは今後も同盟関係を維持したい。
すぐに使者を送ろう。
1329年 (47歳)
バ: 私の息子・バーナードが成人した。
シチリアでも、そろそろ世代交代の時期かな…?
兄: そういえば、父・アンフロイは今の君とほぼ同じ46歳で亡くなったんだなぁ。
バ: ああ…。
即位して27年。いろんなことがあった。…ありすぎたよ。
1330年 (48歳)
バ: さて、4年前から進めてきた領土拡大を振り返ろう。
兄: ベローナ共和国から都市・ベローナを手に入れたね。
ベネチア領イストリアは、女性の権利者を据えて独立させた。
彼女の息子をシチリア領内の伯爵にしているので、いずれ継承で手に入る予定だよ。
バ: イストリアはイタリア帝国のデジュリ外だが、ベネチアを弱らせるためには仕方ない。
何しろ、それまでのベネチアの年間収入は900もあったんだからな。
兄: ところで、上の地図内で黄色の枠線で強調されている領域は…?
バ: カラブリア公とナポリ公を兼ねるアンクティルの領地だよ。
兄: ずいぶんオピニオンが低いね。
バ: カラブリア公の頃は普通だったが、彼の父の死に伴ってナポリ公を継いでからは、ご覧のとおりだ。
ナポリ公爵のデジュリである首都ナポリを我らが押さえているからな。
そして、分割相続を求める派閥や、兄貴を王位に据える派閥に加わるようになった。
さらに、誰だか知らない人物を暗殺する陰謀への加担をやめるように警告したら、これだ。
「暗殺計画への支援は、決してやめない!」
兄: うーん、これは逮捕すべきだね。
バ: ……。
彼は若い頃から将軍として尽くしてくれた。
ナポリの問題は、祖父・オズバーンの政策の過ちだ。
気が進まない…。
兄: 君は昔から優しい人間(Kind)だったからね。
しかし、今やらなければ、禍根は後の世代までずっと引き継がれるよ。
バ: ああ…。
逮捕率は12%だ。
必ず失敗する。
彼の居城・レッジョに軍勢を集結させよう。
1332年 (50歳)
兄: 2年で鎮圧できたね。
バ: ああ。
彼から剥奪したナポリ公爵称号は破棄する。
…これで、禍根を取り除けたな。
カラブリア公は牢獄ではなく居城での閉門処分とする。
兄: お疲れさま、バーナード。
…しかし、君もずいぶん年を取ったね。
バ: ふっ、兄貴こそ。
バ: 弟のオルデリックも病に気をつけていれば、今頃は男3人で酒を酌み交わしながら語り合うこともできたろうにな。
兄: …バーナード、政治に疲れてしまったかい?
バ: そうだな…。
聖地防衛、領土拡大、皇帝との対決。
どれも精力的に取り組んできたが、一族の反抗は、きついな。
女帝ケールも、孫と曾孫に反乱を起こされて、こんな気持の中で亡くなったのかもしれない。
兄: うん…。
バ: …だが、カラブリア公の件にしても、不満を生む根本を解決したことで、次の世代では争いは減るだろう。
そう思えば気持ちも軽くなる。
兄: イタリア統一も、将来の争いを減らすことになるのかな?
バ: そうだな。
文化や宗教が似通った地域が、大国の餌食にならない規模でまとまって独立しているのが最も争いが少ない、と俺は思うよ。
…うん。
元気が出てきたよ。
ありがとう、兄貴。
バ: シーア派カリフでもあるムーサー朝のスルタンが、エルサレム王国へジハードを宣言、か。
ムーサー朝はイベリア半島から完全に追い出され、アフリカ奥地に押し込められている。
攻めるのなら、分割相続によってアラゴン王国から分かれたマウレタニア王国が最も近いだろうに…。
1334年 (52歳)
バ: 甥のエルサレム王から、シーア派のジハードに対する援軍要請を受諾したが…。
カトリック軍がアフリカ奥地に攻め込む勢いだ。
まあ、出兵する必要はなかろう。
1335年 (53歳)
息子・バーナード: 父上!
バ: おう、どうした。
息: 伯父のオスウルフ殿が、亡くなりました…。
バ: …そうか。
このところ、ずっと伏せっていたからな。
ちょうど60歳か。
…俺たちの若い頃は黒死病が流行して、それはそれは大変だったんだ。
兄貴は、感染したものの奇跡的に回復した。
が、弟は16歳で死んじまってなぁ…。
息: は、はあ。
バ: …バーナード。
お前を共同統治王とする。
これからはお前が国の舵取りをするんだ。
息: ちょっと、不安ですが…。
バ: お前の好きなようにやればいいんだ。
息: え、では私自ら戦場へ出てもかまわないのですか?(Aggressive Leader)
バ: ばかもん。
家訓を守った上で、だ。
4代前のドイツ人・ハインリヒ王は、エルサレム十字軍で負傷し、6年間も昏睡したそうだ。
安全な城攻めを除いて、王は戦場に出てはならん。
息: はい…。
1336年 (54歳)
息: 私の婚約者、サモス女公が反乱軍に攻められています。
援軍を送りたいのですが…。
バ: うん。
息: シーア派カリフに続いて、スンニ派カリフもエルサレム王国へジハードを宣言しました。
援軍を送りたいのですが…。
バ: システム上、多重の援軍表明はできんよ。
まずはシーア派ジハードの方を片付けなければ。
息: あ、そうなんですね。
息: 教皇がアフリカへの十字軍を宣言しました。
参加したいのですが…。
バ: ……!
息: 父上?
バ: 総動員しろ!! 直属軍も出せ!!
息: え、あ、あの…
バ: アフリカは我らの目と鼻の先だ!
他の大国に取られたくない!
我らはすでに、アフリカのデジュリ内のチュニスを取っている。
アフリカ王位を他国に取られたら、絶対に揉めるぞ!!
息: は、はいぃぃっ。
バ: アイユーブ朝は退廃が進んでいるな。
バ: 何年も前からHREに禁輸戦争を仕掛けているが、いまだに終わらん。
雇用しているのは傭兵か?宗教騎士団か?
総勢5万5千もあるのに、なぜHREに勝てないのだ?
そして、4千以上の借金を抱えているのは、なぜだ。
…まあいい。
チュニスの隣から順番に占領していくぞ。
海岸沿いに偵察艦隊を配置しておけ。
敵の大軍が迫るようなら、陸軍をすぐに避難させる。
息: アールパード家のハンガリー王が、カルパチアの皇帝として教皇から戴冠されたもようです。
バ: おおお?
かつての大帝国とは関係がなくても皇帝になれるということか。
キリスト教国はドイツとギリシャのどちらかの宗主権のもとにある、という考え方ではなく、地域ごとに独立してよい、という考え方か。
まさに画期的だ。
これはイタリアにとって良い知らせだぞ。
バ: それにしても、エジプトにいる2万2千の敵軍は全く動かんな。
息: 騎兵が多いですね。
傭兵もしくは宗教騎士団でしょう。
バ: もしや、バグか何かで動くことも解散することもできず、スルタンは4千以上の借金を抱えているのか…?
バ: まあいい。
東の9千の敵軍を叩くぞ。
しかし、自領にいるのに回復量が月に4人とは…。
破産状態とは恐ろしいな。
1337年 (55歳)
息: 皇太子ペトロス殿下が亡くなったそうです。
先の内戦で負傷し、ずっと苦しんでいたとか。
バ: 本当に、あの人は何をやりたかったんだろうな…。
息: 新たな皇太子はサバス殿下。まだ2歳です。
緋産室生まれなので、兄を飛び越して指名されたようです。
息: アイユーブ朝がHREに仕掛けていた禁輸戦争は、アイユーブ朝の敗北です。
バ: チャンスだ。
HREが陥落させていたアイユーブ朝の首都、ダマスカスを包囲しよう。
しかし、供給限界が6500とは…。
一気に攻め落とすことができんな。
バ: アフリカでの城攻めは順調だが、損耗が発生しているな。
あのあたりは一本道だ。
味方の大軍が通ることを予想して、わざわざ軍を分けて城攻めしていたのというのに…。
供給限界1万数千の敵地を3万で進軍するバカがあるか!
バ: えーい、ぷんすか、ぷんすか。
息: 父上、閉門処分中のカラブリア公が亡くなったそうです。
古傷がもとで…。43歳でした。
バ: なにっ。
…そうか……。
1338年
バ: カラブリア公爵は先代の息子が継いだが、さっそく派閥活動を始めたか。
息: 先代の反乱の時に剥奪したアブルッツォ伯領へのクレームを持っていますし、もともと野心家(Ambitious)ですから…。
バ: 女帝ケールが味わった苦しみを、俺も今味わっているというわけか…。
バーナード、お前が単独の王となったら、アブルッツォは手放してしまえ。
表面化した争いではなく、争いが生まれる構造を変えることが…王の務めだと…心せよ…。
息: はい。しかと承りました。
55歳で死去。
35年の長い治世の中で数々の栄光を手にした。
ただ、勇猛な一方で優しい性格でもあり、そのために心を痛め、悲しみに沈む日々も多かった。