アンフロイ
1292年 (36歳)
シチリア王アンフロイ: 叔父上、なぜ家令を辞任するのですか?
叔父アンクティル: 私も、もう年だよ。
一族で優秀な若者も育ってきた。
王の代替わりに合わせて、家令も交代したほうがいいだろう。
叔: 私の息子・アンクティルは元帥を留任だろう?
私の家ばかり優遇しては、一族の結束にヒビが入るからね。
しかも、王国の後継者にも指名している。
ナポリ公アンクティル: おう、それそれ。そのことなんだが。
公: 君には成人した嫡男・オスウルフがいるじゃないか。
なのになぜ私が後継者なんだ?
王: オスウルフは凡庸だよ。
内気で臆病で、そのくせ場当たり的なところもある。
息子としては可愛いけど…、とても国を任せることはできないよ。
公: やれやれ、無欲な王様だな。(Charitable)
王: 「正統」にこだわるなら、アルマン卿の子孫に王位を返すべきじゃないかな。
でも、今更そんなことはできないよ。
公: と言いつつ、先王は2つの家系を結婚によってひとつにまとめる努力をしていたのだな。
王: うん。父は婚姻という手段を領土獲得ではなく、もっぱら一族の結束や大国との安全保障に使っていたよ。
シチリアは未だに、周囲の大国の波間に浮かぶ木の葉なんだ。
私の次男、三男や、アルマン卿の子孫イルデブランドには期待しているけど、皆、まだ幼い。
王国の後継者は、すぐに政務を引き継げる人物でなくてはね。
公: ふむ。
王: 君は先代から元帥を務め、数々の戦闘にも参加している。
私も数度、君の指揮下に入って戦い、Flankerの特質も得た。
けど、戦争の腕前では君の足元にも及ばないよ。
加えて、君はナポリ公としての統治の経験もある。
後継者として申し分ないよ。
公: ふーーむ。
王: どうしたんだい?
公: いや。
(俺も王位に近い人間として野望はあるが…、昔、先王に謀反を見破られ、釘を差された身でもある。
この王のもとでは、おとなしく従うとするか)
王: じゃあ、世界情勢を確認しておこうか。
公: 1218年のモンゴルの侵攻開始から80年以上経ったが、トランスオクシアナに達したのがせいぜいで、後は反乱で崩壊して虫の息。
ビザンツはルーム・セルジューク朝をアナトリアから追い出した。
アイユーブ朝は健在。現在のスルタンはサラディンの玄孫だ。
HREは、ホーエンシュタウフェン朝を滅ぼしたスカルポン朝が2代続いた後、選挙により、代々ブランデンブルク公を務めるアスカーニエン朝に移った。
3つに割れたプランタジネット朝は、イングランドがアイルランドを併合したが、両王位を破棄せず、どちらも分割相続制なので、次代で再び割れる見込み。
ムーサー朝マウレタニアは、十字軍で大きく領土を減らしたものの、アフリカ奥地のマリを完全征服しており、まだまだ侮れない。
王: 次に、イタリア周辺だけど。
公: 先王が最後に都市・フェラーラを取ったことで、フェラーラ共和国はボローニャの1ブロビだけになった。
その他は、同じく1プロビのスポレート公国。
ベローナ、ベネチア、ピサの共和国。
スーサ公国。
そして、イタリアのデジュリ外ではあるが、ジェノバ領のニース。
残りはHREと教皇領だな。
王: 豊富な資金力を持つベネチアとベローナは油断できないね。
慎重に行こう。
1294年 (38歳)
王: フェラーラ共和国からフェラーラ公爵称号を剥奪して、そのデジュリ要求でボローニャを手に入れたよ。
ピサ共和国領のサルデーニャ南部のオリアストラは、権利者を招いた上で宣戦した。
公: イタリアとして、まとまりのある領土になってきたんじゃないか。
公: オリアストラの権利者で招きに応じた2人は夫婦で、妻が強クレーム、夫が弱クレームだった。
だから、まず妻のクレームでピサに勝利し、妻がシチリアからもピサからも独立した後で、夫のクレームで妻に宣戦し、終戦直前に夫に領地を与えた。
王: 私の宰相は優秀で、次から次へとクレームを捏造してくれるよね。
正直、こんな残酷な方法を取らずに捏造すればよかったんじゃ…
公: 捏造には金がかかるからな。
招きに応じる権利者がいるかぎりは、節約しよう。
王: うーん…。
公: それはさておき、フランス北部の飛び地のエノーで民衆反乱が発生していて鎮圧したいが、立て続けに軍を動員したことで諸侯の不満が溜まっている。
エノーは新参のモデナ公の領地だし、今は放置だな。
1295年 (39歳)
王: スンニ派カリフが、エルサレム王国へのジハードを宣言…!
私達の一族は、200年前からずっとエルサレム十字軍に関わってきた。
特に、70年前に祖父母(ウィリアム3世とシビル)も参加した十字軍によって、エルサレム王国は今の状態に復興したんだ。
「十字軍戦士」のトレイトを得られなくても、これは援軍を送らなくては!
公: おい、これはチャンスだぞ。
王: え?
公: 防衛側なら封臣の不満は溜まらない。
参戦を表明した後で、エノーの住民反乱の鎮圧に向かおう。
王: うーん…。まあ、いいかな?
報告によれば、スンニ派側の参加者は少ないし…。
1296年 (40歳)
王: …なんて油断してたら、スンニ派の参加者が一気に増えたよ!
アイユーブ朝はまだ参加してないみたいだけど。
王: 娘をエルサレム王に嫁がせたばかりだというのに…。
あいにく宗教騎士団は出払ってるけど、封臣の軍だけでも1万2千ある。
急いで派遣しよう!
(なお、エルサレム王位はギー・ド・リュジニャンの子孫が代々受け継ぎ、現在の国王はギーの玄孫)
1297年 (41歳)
王: うう、敵の数が多すぎる。
画面外のキリキアにフランス軍1万もいるけど、それでも劣勢だ。
王: だいたい、カトリック側の援軍がフランスとシチリアだけって、どういうことだよぉ…。
今回のゲーム開始年代(1187年)はプランタジネット朝の全盛期だったから、フランスは決して大国じゃない。
そのプランタジネット朝もHREも参加していないなんて…。
アキテーヌ王国なんか、エルサレム王国のデジュリ内に領土を持ち、首都をヘブロンに置いているのに。
やっぱり、私達がイタリアを統一して、カトリックの大国としての義務をきちんと果たさなくては。
公: それはともかく、封臣の軍もだいぶ傷ついた。
残念だが、撤退すべきだ。
せっかく金をかけて捏造したクレームも溜まっているぞ。
王: 今のシチリアの国力では、これが限界なのか…。
1301年 (45歳)
王: スーサ公国からモンフェラートを、ベローナ共和国からパドゥアを手に入れたよ。
公: 金を6千以上貯めていたベローナは心配だったが、初期費用450毎月100で雇える1万5千の傭兵ではなく、7千5百の傭兵ひとつしか雇っていなかったから楽勝だったな。
それでも、パイク兵と重歩兵の比率が高く、防御力は侮れなかったが。
王: この決戦の勝利を見届けて安心したのか、私の叔父、君の父のアンクティル殿が亡くなったね。
公: 親父も晩年は野望に目覚めて(Ambitious)、イタリア征服について色々口を出していたなぁ…。
王: 今のところ、イタリアで攻められる場所はないね。
他方で、エルサレムはまだ持ちこたえてるけど、戦勝点はマイナス70。
ただ、スンニ派も大きく兵力を減らしてる。
今、ちょうど5千の宗教騎士団が空いてるから、封臣の軍と合わせてもう一度援軍を派遣しよう!
公: 賛成だ。有利な防衛側なだけあって、こんな巻き返しも可能なんだな。
(スンニ派の軍勢は1万数千にまで減っている)
1302年 (46歳)
王: エルサレム戦線は立て直せたみたいだね。
それにしても、最近、領内の病人が多すぎる気がするけど…。
公: まずいぞ、これは黒死病だ!
王: え!?
王: このプレイではDLCを全く入れてないから、病院を建てることも、城を閉鎖することもできないんだ。
どうすれば…。
公: エルサレム方面に疫病の流行はない。
軍の指揮を取るという名目で、君だけでもエルサレムに避難してくれ。
王: く…。
そうだ。君も元帥なんだから、一緒にエルサレムへ行こうよ。
公: 俺は後継者であると同時に、万一の場合の摂政にも指名されている。
我々2人が、そろって本国から離れるわけにはいかん。
王: しかし…。
公: 行くんだ、アンフロイ!
本国からの使者: 陛下、大変です!
ナポリ公が黒死病で亡くなりました!
王: な、なに!?
あれからひと月しか経ってないんだぞ。
なんて威力なんだ、黒死病は。
ああ、アンクティル……。
使: 陛下、お嘆きの中、言いにくいのですが、後継者を指名していただかなくては…。
王: …そうだった。
三男のオルデリックにする。
3人の息子たちの中で、また、一族の中でも優秀な人間だ。
王: そしてオルデリックに、将軍としてエルサレムへ来るよう伝えてくれ。
なりふり構ってなどいられない。
ともかく、少しでも一族の人間を避難させなくては。
使: ははっ。
王: 王とは…、これほど過酷な務めなのか。
HRE以外のイタリアを統一するだけならば、父の敷いた道に従うだけで簡単なことだと思っていたが。
民を、臣下を、友を見捨てて、卑屈に生き延びなければならないこともあるのか。
いや、これも国全体のためだと分かっている。
分かってはいるが…。
46歳で死去。
黒死病の症状は認められず、自然死であった。
しかし、次々ともたらされる黒死病の被害の報告が、生来温和な彼を苦しめ、寿命を縮めたことは間違いない。
ちょうど10年間の治世であった。